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2024/11/27(Wed) 04:52:31
前回(ロストメビウス)の秋良が、しっかり働いていたりしてニヤリとした。
上遠野氏の書く、ぶっきらぼうな少年の話し方は、ちょっとカッコ良いな、と思う。特にピート・ビートで顕著なのだけども。

何となく久々に、世界の敵とブギーの真っ向勝負を見た気がした。
もやもやとしていた中で、ふいにくっきりと姿が見えたみたいな。
言い方はおかしいけれど、晴海は明らかに世界の敵で、その事に自覚もある。清々しいくらい『敵』であることを認めているというのは、実は久し振りなんじゃないかと思った。
あくまで私の印象に過ぎないのだけど。

前作ロストメビウスにも、あらゆるモノを爆弾にする能力が出てきたけれど、今作のワン・ホット・ミニッツもあらゆるモノを発火させる能力だった。
結局のところ、破壊願望の1番分かり易い形は爆発、炎上なのだろう。
跡には何も残らない。
でもそれは消失、ではなくて蒸発や昇華・・・何となくだけれど、存在だけは圧倒的に残る気がする。
燃え尽きてしまった岬の公園が、確実に『何か』あった痕だと誰もが感じるように。
晴海は最終的に、貞夫と共に消えてしまったけれど、それだって極一部には圧倒的な存在感を残して逝ったように思う。
彼女にとって、貞夫のいない世界は好き嫌いを感じる事もないくらい、何の意味も持たなくなってしまったのだろう。
好きは勿論だが、嫌いという感情だって、相手の存在を認めた上で起こる想いなのだから。
だから、あのラストはとても分かり易くて、納得がいって、そしてあまり哀しくなかった。
不謹慎だけど、妙にすっきりした、というか。
貞夫も晴海も、とても満足して始まりに帰ったみたいだし、ブギーポップの牽制は慈悲がないにしろ、優しい結果をもたらしたように見えたから。

話の構成やデザインは、ホーリィ&ゴーストに似ていたと思う。
全てを見届けた上で、頭の喩え話がようやく理解できる、という辺りのことだ。
話の顛末を知らずに聞いても、何がなにやら分からない喩えだったけど、全部読み終わってから再度戻ると、確かにそうで。
貞夫の氷がなくなっても尚、燃えなかった理由は、十数年に渡って体内にあった事からチャージ分が多かったのか、彼が言うように1度死んだ生命だったから2度は死なない、という事なのか。
それとも『それ』が、貞夫が生かされていた天からの理由だったからなのか。
よく分からないけど、これこそ分からないままの『奇蹟』が良いんだろう。そう思える。

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2007/01/14(Sun) 22:38:37
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