年始に公開された実写映画のノベライズ。
けれど映画そのままではなく、もちろん事件そのものと辿る経過は同じなのですが、登場人物や人物像などが少しずつ違っていて、映画を観ていても関係なく楽しかったです。
真希ちゃんが関西弁で、気の強い女の子だとか。
BOYが出てこず、ニアが既にワイミーズで動いているとか。
美砂や松田がしっかり登場するとかとか。
多分、原案が一緒で、そこから小説と映画、という各々の形に派生したんだと思います。
何より、Lがよく笑っていたのが印象的でした。
表情を、くるくるとは言いませんが変えて、真希ちゃんと兄妹のように寄り添って。
たった1人の友人の腕時計を、大切に左手につけて。
やっぱりコレは、Lの話で、Lのために書かれた話で、Lを描くための話なんだな、と思いました。
Lがとっても魅力的だったのです。例え串カツに竜崎専用チョコソースを用意していても!
『優しい』という言葉の定義は難しいですが、その言葉に『優れる』という字を当てた感覚を、ほんの少し感じられたような気がしました。
Lは強くて、真っ直ぐで、しなやかで、優しい。
キラ事件が終結して、世界の変革は一時的なものとして戻っていって、環境は悪化する一方で、それでも希望を見る眼は揺るがなくて。
あぁ、こうやって書くと鳴海歩みたいですが。
変わったのはきっとLの世界で、でも世界から見たLも、Lから見た世界も変わってはいないんじゃないかと。それでも良い方に向かうと信じていると。
この人、ひいてはワタリが、絶対的な性善説支持者だったんだろうと思います。
・・・いや、そんなこと言ったら、何て返ってくるかな。
真希ちゃんが教えたことを、素直に学習して実行している様は、とても愛おしかったです。
手を握って、頭を撫でて「がんばりましたね」と声を掛けて。
きっと、ワタリもそうやってくれていたんだろうなぁ、と思うと余計に。
そして、Lの本名にロウ・ライト『法の正義』という字を当てた最後に、じんときました。名は総てを表す、と?
それを思うと、月と書いてライト、と読ませた彼だって、月明かりのライトと、正義や正しさのライトが掛かっていたんでしょう。あの2人は、同じ言葉を名に持っていたんだな、としみじみ思ったりしてしまいました。
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