程良く,品好く,機嫌よく。
昨日TV放映された【風立ちぬ】初見であまり言葉もなく観ました。
いいとも悪いとも言えない、何か語るのは難しい、という印象で。 明けて今日、ネットで他の方の感想や解説等々を見ていたら、ラストシーンの菜穂子さんの台詞が絵コンテでは違っていた、という話を見つけまして、そこだけはちょっと思うことがあったというか、それが本当なら映画のラストはよかったなぁと思ったので、追記に書き残しておきます。 ところで公開当時のポスター絵で、菜穂子さんのイラストが大きく出てるやつ。あれは違うと思うんだよなぁ。 絵コンテ段階での菜穂子さんの台詞は『あなた…来て』だったようで。 実際には『あなたは、生きて』と言っていたシーンでした。 なんかこうやって並べると本当か?と疑わしくもなってしまいますが、これが本当なら前者は許してもらえなかった二郎さんが、後者の完成版では許されたように見えます。 だって私は時代背景とかに詳しくなくて、当時の結核がどういうものだと考えられていたのかもよくわからないのですが、顔を寄せてくる二郎さんに「伝染るわ」と言っていたんだから、そのくらいの認識はあったはずなのに、彼女は山の診療所から名古屋の都会に下りてくるんですよね。電車に乗ってやってきて、彼に寄り添って暮らして、彼女はあれ以来一度も周りに感染させてしまう心配をするような素振りを見せないのが何となく腑に落ちなくて、でもそのきっかけとなった診療所に届いた手紙のことを『二郎が自分の仕事のことばかり書いた自己中なもの』と称している方がいらして(私はアレは二郎さんが仕事に行き詰っている的な話を書いてきているんだと思って、君が居なくて仕事も上手くいかなくてな彼に、彼女はあぁではせめて仕事以外の部分でくらい支えてあげなくてはと思ったんだと感じたのだけど)その考え方でいくと彼女はむしろあの瞬間なんというか、開き直ったのかもしれない、と思って。 それはすごく残酷な話なんだけど、そうなると菜穂子さんはいっそ彼に伝染してしまって一緒に死んでくれたらくらいの思いも掠めていて、だからどちらに転ぶか彼に賭けてしまったのかもしれない。 あのシーンでの「来て」は、一緒に逝きましょう、だものな。 でもそうなると、仕事の方もズタズタだと称していた彼が、菜穂子さんに「あなたは生きて」と言われるのは、突き放されるような心地かもしれないし、彼の生き方を許された瞬間ではあるけど、多分なにより残酷な一言でもあったのだろうと思う。 けどあれで彼が彼女と逝くことを選ぶラストだったりしたら、それこそ興醒めだったと思うんだよなあ。 PR 2015/02/21(Sat) 23:42:36
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