右岸 / 辻仁成
左岸 / 江國香織
『冷静と情熱のあいだ』の2人、再び。
連載期間は7年にも及んだそうです。1人の人間の半生を、1冊に収めるって、考えたら凄いことです。
河、という字は外国の大きな川を限定的に指す、とPCの変換辞書が表示しました。
ガンジス河とか、でもナイルは川じゃなかったっけ、とか、そんなことが頭をよぎります。
“人生は河である”とは、2冊に共通して出てきた言葉でした。
『右岸』の主人公、九ちゃんと『左岸』の主人公、茉莉の物語は、各々びっくりするくらいに交わらず、けれど時折、相手の人生に、不意にぱっと存在感を現したりしていました。
同い年で幼馴染みの2人なのに、50年もあった時間の中の、ほんの少しの関わりでさえも、1冊だけ読んでいるときは気付かなかった、凄まじいすれ違いっぷりに、呆気にとられてしまいそうでした。
確かに同じ場所で、同じものを見て、同じ空間で喋っているのに、その会話の方向は清々しいほどに食い違っていて。結局、男女で分かり合えることなんて、この程度なのかもしれません。
でも、どちらの物語も、最後には穏やかな気持ちになれるものでした。
ほんわりと落ち着くまで、あぁ、この2人は50年も掛けたのか。
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