先月から、細々と小咄を書き溜めています。
セルフお題、みたいな感じで。
お題とかも好きで、借りてこようかなぁ・・・とか思ったりもしているのですが、自分が書きたいように書いているだけで、手一杯な気もして
手が出せずにいます。
ちょこちょこと、そこから零れた(ハブれた、とは言わない)お話を、ここに載せて自己満足してみようかと思い、カテゴリ追加してみました。
何個かやれば、お題がバレるかな?
ちなみに今んトコ、スパイラルonly。全員分形になったら、まとめてupしようかなぁ・・・なんて、物凄い長期計画だったりします。
・・・今度、薬屋も書こうかな。書けるかなぁ。
『さいだー』
サイダーの泡を見ていると、思い出す物語がある。
「海の泡になってしまいましたって、綺麗な言葉ですけど、結局消えてしまったってコトですよね」
「・・・突然、何の話だ?」
しゅわしゅわと湧き上がる泡をストローでかき混ぜながら、少年が眉をひそめる。
「人魚姫のお話です。何か、コレ見てたら思い出しません?」
「いや、まったく」
「鳴海さんてば、答えるのが早すぎますよ。少しくらい、思いを馳せてくれたっていいじゃありませんか!」
私の叫びなど、何処吹く風でサイダーを一口。
「幸せな結末がお望みなら、赤毛の小さなお姫様は泡にならないぞ」
「あれはあれで、全く別物というか・・・」
「現実はいつもハッピーエンドとは限らない。小さいうちから、そういう話を知っておくのも勉強なんじゃないか?」
「う~ん、そうなんですけど~」
わかっている。
不満だという訳ではない。
ただ、やりきれない想いが残って、複雑な気持ちになるのだ。
せめてお話の中でくらい、幸せになれても良いのに。
しゅわしゅわと弾ける泡。
「サイダーの泡は、いつか消えるが、海の泡は永遠に失くならないんじゃないか?」
からん、といつの間に飲み切ったのか、彼のグラスで氷が鳴った。
明るい日差しを受けて、テーブルにゆらゆらと影が落ちる。
ひたすら空に向かう、泡、泡、泡。
出来るなら貴方のいる方へと、永久に向かい続けて。
-END-
PR